陶器の焼成時に、釉薬(上薬)を弾いて、焼き付かないようにする便利なものがある。
破水剤として売られているのだけれど、何故だか私はこれがあまり好きではない。
後処理も楽だし、窯の為にも、使えば良いのだけれど、使い心地がイヤなのか、臭いがイヤなのか、昔からほとんど使わない。(生徒さんには強引に使わせていたけれど)
しかしある時、破水剤を利用した技法を試してみたくて、自分用に購入した事がある。
ブルーの瓶に入った、ブルーの液体。
シンナーの臭いに、フラフラになりながら、次から次へと多用した。
しかし・・・
イヤだなぁ、と思うものって、結局私に馴染んではくれない。
アトリエのディスプレイと化していた破水剤は、先日ほぼ満タン状態のまま床に落ち、アトリエの三和土(コンクリート)をブルーに染めた。
パッリ〜ンッ!
完璧な効果音と共に流れ出るブルーの液体をどうする事もできず、ただただ見入っていた私は、何故だか別の事を考えていた。
壊れてしまったものは、もう2度と戻らない。
時が戻らないのと同じように、もう2度と、そのもの事体に戻る事はない。
壊れる前に何とかできる事ってあるだろうに、壊れて始めてその存在に気付く事もある。
あ、こんなところに、こんなものが・・・あったんだ?という風に。
物でも
者でも
関係でも
その存在に気付く為、1度壊してみるのも手かもしれない。
でも、肝に命じておかなければならない。
壊れてしまったものは、もう2度と、そのもの事体に戻る事はないのだと。