泣けばいい


泣きたかった
無性に泣きたかった。

暗い音楽でも聞いて
周りなんて気にせずに
思いっきり感傷に浸って
悲劇のヒロインみたく
思う存分泣きたかった。

幸か不幸か、私にはそれができなかった。

1人じゃない事の孤独。

自分の気持に蓋をする
1人じゃない事の孤独。

あの頃と同じように
今回もまた、泣く事さえできなかった。

そうやってまた
傷口が瘡蓋になるまで放っておく
私の悪い癖。

ならば瘡蓋が自然と剥がれ落ちるのを待てばいいのに
大きくなった瘡蓋を自らの手で剥ぎ取る
私の悪い癖。

泣きたい時は
泣けばいいのに

そうすれば、小さな傷で済むのかもしれない。
そうすれば、傷は案外早く癒えるのかもしれない。

だからあなた

泣きたい時は
思う存分泣けばいい。

周りなんて気にせず
思いっきり泣けばいい。


2003.10.11

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