Phot:by nao

紫陽花

人の心は、移ろいやすくて・・・

紫陽花の花は、時間の流れと共に、そして環境によって、その色を変える事から、“七変化”と呼ばれている。

「私が死んだら、泣いてくれる?」
そんな子供っぽいというのか、演歌の世界と言うのか、とにかくそんなことを聞き捲っていた時期があった。大抵の男は、『当たり前だ』とか『俺も死ぬ』等と口走ったが、ただ1人『いや、絶対に泣かない』と言い放った男がいた。

「おまえは死ぬ時、おめでとう、と言ってもらいながら死にたい、と言った」
だから、『おめでとう』と言ってもらえるに相応しい生き方をしろよな、と。

「まるであなたは紫陽花みたいだねぇ」
彼と出会って10年経った頃、紫陽花を前に、私は彼にそんなことを言った。

時の流れと共に、居場所も、好みも、志も、そして愛するものさえ、ころころと変わっていく。
まるで、環境によって違う色を発し、時と共にその色を変えていく紫陽花のように・・・

目まぐるしく変わるくせに、そのどこかに共通点があって、変わる速度は、とても良く似ている。
まるで、枯れてしまっても尚、翌年同じようにそのサイクルを守って咲き乱れる紫陽花のように・・・

「おまえだって紫陽花みたいだよ」
「そうだね、皆、同じだよね・・・」

人は変わる。見た目も、考え方も、心までも、変わり続けていく。
いわばこの身体(魂?)は、紫陽花の根っこの部分なのかもしれない。

「酸性の土と、アルカリ性の土、どっちがいい?」
「雨が酸性だから、色を変えるんだとしたら、少しでも多くの色を出したいし、アルカリ性かな」
「じゃぁ、元々酸性の土に咲く紫陽花は、三変化くらいなの?」
「・・・」

根っこさえしっかりしていれば、例え今年咲けなくったって、また来年、咲く事ができるはずだゎ。
ちゃんと根っこを育てていれば、その時々、どんな花を咲かせようとも、どんな色に変わろうとも、私は私でいられるんだゎ。

今年も色鮮やかに咲き誇る紫陽花を見ながら、私は今日も自分に言い聞かせている。

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