私は現在、3足の草鞋を履いている。
『二兎を追うものは一兎をも得ず』
こんな諺があるが、3兎追えば1兎くらい何とかならないかな、てなものだ。
というのはさておき・・・
3足の草鞋と言ったのは
まず1足目は、仕事でもある陶器を創ること。
そして2足目は、制作費を捻出する為の仕事。
そして3足目は、家事全般である。
陶芸をやり始めたのは、10年前。
何の気なしに、というと失礼だが、親元を離れたくて
地元大学にはないコースを選んだ、というわけだ。
大学卒業と同時に就職をしてみたものの性に合わず
何を血迷ったか、自分のアトリエを持った。
デッカク言うと、独立したのだ。
私はまだ22歳だった。
それ以降私は常に、履ききれない程の草鞋を履いている。
それは生活のみならず、アトリエ代を払う為であり、製作費を作る為であった。
たまに履ききれなくなった草鞋を数えながら、私は思う。
私はだ〜れ?
どれが本当の私なの?
追い捲くられる日々は、何となく充実感を与えてくれるものだ。
でも・・・
時々忘れてしまいそうになる。
私が色んなものを犠牲にしてまで欲しかったもの
それは他の何でもない“自由”だったことを。