自分の居場所を探していた。
探しながら、方向音痴の私は、道に迷ってしまっていた。
二進(にっち)も三進(さっち)もいかなくなり、私は始めて足を止めた。
辺りを見渡すと、不可思議な世界に、いる事に気がついた。
そこはとても不思議な世界。
しかし、その場所には記憶があった。
以前、足を踏み入れたことのある記憶。
眼を凝らしてみる。
前へ前へと進んできたはずなのに、確かに見覚えのある景色。
夢から醒めるように、私は気がついた。
そこは、やっとの思いで抜け出したはずの場所。
そこは、私を何年もの間苦しめ続けたはずの場所。
そうか、私はまたここへ戻ってきてしまったんだ。
一度足を踏み入れると最後、抜け出そうにも抜けだせない、終わりなき迷宮に。